無口な彼の妬かせ方
「結構待ったんだからね!」
「は?」
俺、待っててなんて言ったっけ?
やべ、全然記憶にない。
「俺、待っててなんて言った?」
キョトンとした顔でそう言えば、
「っっっっ!!」
唯ちゃんの顔が一気に真っ赤になった。
「い、いいから!!これ!渡したかっただけだし!」
「え?あ、おいっ…」
ドンッ!
っと手元に衝撃を受けて、
なにやら暖かい物を渡された。
なんだ?これ。
そう考えているうちに、気づけば唯ちゃんは走り去っていて。
「(足はえーな…)」
その足の速さに驚きながらも、
バイトの疲れからか、追いかける気力はもうなかった。