無口な彼の妬かせ方
「もう体調治ったのか?」
「ああ」
俺の隣を歩き出した蓮は俺の顔をジッと見て、
「とか言って~。藍ちゃんに会いたいから無理矢理来たんじゃねーの?」
そして、ニヤッと笑った。
「…………」
まあ、それもあってる。
そう思っていたとしても、言葉には出さない俺。
「おっと。マジか」
「悪いかよ」
図星だとは思わなかったみたいで、ちょっと驚いた表情の蓮。
「いや、別に悪くないけど。
…ほんとベタ惚れだよな、お前」
「…ああ、そうだな」
俺は自分の手にはめた手袋を見て、少し微笑んだ。
「………ふーん、」
そんな俺を見る蓮の顔が少し暗くなった事に、
俺はまだ気付かずにいた。