無口な彼の妬かせ方
無事に遅刻せず学校には着いたものの、藍に会うことはできなかった。
昨日のお礼と、この手袋のお礼を言わなければならない。
「(……昼休みにでもクラスに行くか)」
そう考えた俺は、そっと手袋をはずしてカバンに詰め込んだ。
「藍、いる?」
昼休み。俺は考えていた通りに藍のクラスに来ていた。
「あー、今ちょっと職員室行ってる」
「…職員室?」
「先生に呼ばれて。たぶん手伝わされてるんじゃない?あの子今日、日直だし」
日直、か。
黒板の方に目線を向ければ、日直と書かれているところに藍の名前が書かれてある。
だとしたら、昼休みはもう教室には戻ってこなさそうだな。
暇になった俺は特にすることもないため、教室に戻ろうとした。
が、
屋上に、蓮らしき人影。
「……………」
俺は自然と屋上の方向へと、足を進めた。