無口な彼の妬かせ方
「っ………」
後ずさるようにして、その場から走って離れた。
見たくない。見たくなかった。
身体中の震えがとまらない。
明日……私、ふられるの?
我慢していた涙が一気に溢れ出て、それを拭きながら走る。
途中で担任に見つかり怒られたけれど、私のその顔を見て驚いていた。
適当に"お腹が痛い"と嘘をついてみれば、早退するようにと勧められる。
早退……か。
素直にそれに従った私は、学校を早退。
ちょうどよかった…早退して。
今はちょっと、翔に会いたくなかったから。
会ったら会ったで、その瞬間にフラれるかもしれない。
それが…すごく怖い。