無口な彼の妬かせ方
「っ!なっ…!」
「あんた、もしかして元彼の事とか引きずっちゃってんの?
まあ仲良かったもんなあ。でももう別れてんだろ?
じゃあ忘れろよ。無理なら俺が忘れさせてやるからさ」
グッと手首を掴む力が強くなって、身動きなんて一切できない。
「ちょっ、やっ…めて!」
本当に別れてるって思われてるんだ…!
違う!別れてなんかないのに…!
ニコリと笑うその笑みが不気味で、背筋がゾクっと震える。
恐怖。そんな状況になると、声は自然と出なくなって。
ただただ、震え続ける。
「ほら。だから目、閉じてよ」
「いやっ…」
近づけてきた顔がすぐ目の前にあって、
それを避けるかのように顔をそらせば。
「ふーん。別に開けててもいいけどね。」
少しずつ、顔がまた近づいて。
その男の口はニヤリと弧を描いていた。