無口な彼の妬かせ方
その後。
私はあのクッキーを少し食べた。
ハート型に作ったクッキーが、砕けて無残な形に変形している。
私と翔も、こんな風になっちゃうのかな……
最早、ハート型とは呼べない形。
キスすらしない関係。
"好き"なんて言ってくれない。
妬いてくれることなんて、一切なし。
これって本当に付き合ってるって言える?
「もう…ヤダ……」
潤む目。
泣かないようにと必死に我慢する。
持っていたクッキーが下に落ちて、さっき以上に粉々に砕けた。