無口な彼の妬かせ方




その後。



私はあのクッキーを少し食べた。



ハート型に作ったクッキーが、砕けて無残な形に変形している。



私と翔も、こんな風になっちゃうのかな……



最早、ハート型とは呼べない形。



キスすらしない関係。



"好き"なんて言ってくれない。



妬いてくれることなんて、一切なし。



これって本当に付き合ってるって言える?




「もう…ヤダ……」




潤む目。



泣かないようにと必死に我慢する。



持っていたクッキーが下に落ちて、さっき以上に粉々に砕けた。

< 29 / 304 >

この作品をシェア

pagetop