無口な彼の妬かせ方
なにか話さないと…
そうは分かっているものの、
なにから話すべき?
話すことがいろいろありすぎて
悩むくらい。
「…………誕生日のとき…」
そんな中、
まずはじめに喋りだしたのは
翔からだった。
「……買い物だって言って、外に出たつもりにしてたけど…
実は、藍のバイト先にも行ったんだ」
俯く翔。
「え?」
驚きの事実にジッと翔を見た。
「…………ただ覗くだけ、見に行ったんだ。」
ストーカーっぽいよな。って翔は苦笑いする。
だけどその顔は瞬時に終わって
「…………心配だったんだよ。
蓮になにかされてるかもしれないって」
「っ」
その言葉全てをさみしげなトーンで言うものだから、
私は何も発することはできなかった。