無口な彼の妬かせ方
「束縛、なんてしたくなかったんだ」
「っ…」
真剣な眼差し。
目線を逸らすなんてこと、できそうにもない。
「束縛とか、嫉妬とか。
俺は絶対しないって決めてたんだよ。
藍を絶対大切にするって。
ずっと笑っていられるようにしたいって。」
やっと聞けた、翔の素直な気持ち。
「……っ、じゃあ…嫉妬してたときも、あったの?」
「あるよ。何回も。
だけど顔や言葉には出さなかった。
…そう、決めていたからね。
俺は意外と嫉妬深いんだよ……」
口元を手で隠す翔。
少し、目元の下あたりが赤く染まっていた。
嫉妬、してくれていたんだ……
してほしいって思っていたけど、本当は……
「してくれて、いたんだね……」
「…ん?」
「嫉妬…」
ふふっと嬉しくて口元が緩む。
「………笑うなよ」
「だって、嬉しくて」
「……………」
なんだよそれって言いたげな表情を見せる翔に、
私はまたニコリと微笑む。