無口な彼の妬かせ方
だから、妬かせてみたいの。
翔を妬かせたらどうなるのかな、って。
無口で少し無愛想そうな翔を妬かせてみたい。
それが私の小さな夢でもある。
「私も……帰ろ」
少し憂鬱な気分で、カバンを肩に軽くかけた。
私以外、誰もいなくなった教室が今の私の心を映し出しているかのよう。
パタリッとドアを閉めた時、
窓から見える外の景色が目に入った。
………雨?
ざぁーっと降り注ぐ大粒の雨。
その雨がもっと、私を憂鬱な気分にさせていく。
ヤダなー………
傘、持ってきてないのに。