無口な彼の妬かせ方
雨のせいで暗くなった空。
今にも雷が鳴りそうで、私は下唇を噛みしめる。
「はぁーっ」
しょうがない、走って帰るしか…
ここで止むのを待ってたら、
何時間待つことになるのやら。
みたところ、止みそうにない。
ジメジメとした空気が漂う中、
私は靴箱に靴を取りに向かう。
……その時、
「あれ、佐倉?」
ピタリッ、私の足が止まる。
「えっ?………あ、早瀬くん」
急いで声の方に振り向いてみたけれど、
なんだ……翔かと、一瞬思っちゃった……
残念ながら翔ではなく、私の男友達の早瀬(ハヤセ)くんだった。