無口な彼の妬かせ方
「何してんの?一人で」
「早瀬くんこそ」
徐々に近づいてくる早瀬くんに、
私もそっちの方を向く。
「俺は今から部活」
すげーめんどくせー、って苦笑しながら言っていた。
「あーそっか。バスケ部だったね」
大変だなー………部活って。
入らないで良かったかも、なんて思ってしまう。
すると、早瀬くんの目線が私の手元に向いた。
「佐倉、お前傘は?」
その言葉に、ピクリと身体が反応する。
やっぱり……言われると思った。
怪訝そうな顔で見つめられて、私はとりあえず笑みを浮かべてみせる。
「忘れちゃってさ」
「えっ!?マジかよ……あ、黒崎は?」