無口な彼の妬かせ方




「ん?」




早瀬くんはその声に気づいたのか、こちらに振り向いて。



誰かと思ったら、佐倉か。ってニコッと笑う。




「何してんの?」




そう言いながら近寄った時、私の目線は彼の手元へ。



……ああ、なるほど。



早瀬くんの両手には、大量のノート類。



そういえば早瀬くん、学級代表だったな……



私が苦笑いする中、早瀬くんは私の反応を見て、




「見ての通りです」




爽やかにハハッと笑った。



重いだろうな……この量は。



「手伝うよ」って言ってみたけれど、早瀬くんは首を横に振るだけで。




「いや、大丈夫。このぐらい余裕だから」




余裕、余裕。って繰り返し言う。



でも、今暇だしな……



なんて思った私は、強引にそのノート類の半分を奪うようにして取る。

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