無口な彼の妬かせ方




わ、笑ってる?



その姿をジッと見つめていれば、




「ん。こんにちは」




軽く微笑み、私の頭を軽くポンッと叩いた翔。



思わず、持っているノートを落としてしまいそうになった。



頭の上には、まだ翔の手が置かれたままで、



全神経がそこに集中する。




「なにしてんの?」




顔を覗き込まれて、そう問われた。




「は、早瀬くんを手伝ってるところ」


「……ふ~ん」




翔の目線が早瀬くんの方に移動して、鋭い目がもっと鋭くなっている。




「俺も、手伝おうか?」




ニコッと微笑む翔に対して、早瀬くんは無表情で。




「………いや、大丈夫。もうそこだし」




ニコリと作り笑顔を浮かべている。



「なっ?」と、私に話を振ってきた早瀬くんの表情は、真剣そのものだった。




「う、うん………」




軽く頷く私に、ジッと翔からの視線を感じる。

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