無口な彼の妬かせ方




翔が意外な行動をとったあの日。



帰っている最中に突然言われたんだ。



"日曜日の午前10時、あの公園で待ち合わせ"っと。



それを言った翔の顔は薄い赤色に染まっていて、照れ臭そうだった。



それに対し私は、聞いた瞬間に耳を疑った。



驚いて、驚いて。



開いた口が閉じられなくなるぐらい、驚いた。



今思い出しただけでもキュゥーッと身体が熱くなっていく。



早く、来ないかな………



ふふっと口元が緩み、笑顔になる。



………その瞬間。




「………藍?」




っと、私の名前を呼ぶ声。



パッと顔をあげれば、それはやっぱり翔で。



制服姿ではない翔の服装が、私にとってとても新鮮だった。

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