無口な彼の妬かせ方
「翔っ!」
パアッと自分の目が輝いたのが分かる。
「っ……」
驚き気味の翔に、ニコニコと笑う私。
すぐさまベンチから立ち上がって、翔に駆け寄った。
「おはようっ!」
ジッと目線を合わせて笑顔でそう言えば、
「………おう」
照れ臭そうに返事をする翔。
なんか……いいな。
この感じ。
周りから見たら、私達はカップルに見えているのかな……
顔を俯かせて、ふーっと息を吐いてから、
「……じゃあ、行こっか!」
そう言って。
クルリと方向転換し、行き先は決まっていないけれど、取り敢えず歩き始めた。
やばいっ、やばいっ……
緊張と嬉しさと、いろんな感情が混ざり合って、いつものように接することが出来ない。
今日一日で、心臓壊れるかも……
今でも、翔の私服を見ただけで破裂寸前だったんだから。