無口な彼の妬かせ方
「これ、使っていいよ」
「へっ?」
差し出されたのは、
よくコンビニとかで売っているビニール傘。
買ったばかりなのか、
汚れている所は一切なくて綺麗。
なんか……借りたとしても、使いづらい……
「部活終わった頃にはもう、止んでるだろうしさ」
ニコリ、と優しい笑み。
ギュッと。
強引にそれを握らせられて、
拒んだものの、
最終的には貸してもらう始末。
明日……
傘と一緒にクッキーでも作って返さないとな……
バサッと傘を広げ、
校庭に出ると一気に雨が傘に降り注いでいく。