無口な彼の妬かせ方




「おい、おちつけ!」


「ヤダッ!離してよっ…!」




引っ張ってみても、離してはくれなくて。



ブンブンと振り回してみても、離してくれない。



泣き叫ぶ私に、翔は焦っていた。



早く、離して……



お願いだから、早く。



翔を傷付ける前に……




「……嫌い、嫌い、嫌い!」


「…っ……藍…」




もう、わけ分からなくなってる。



嫌い?違う、その真逆。



好きなのに……



正反対の言葉を、私は叫ぶように言っていた。



驚く翔に対して、私はその言葉を連発する。



息がだんだんと苦しくなって、呼吸が乱れだす。



もうやめてよ……



何も、言わないで。発さないで。



脳内はそう思っているのに、口がいうことをきかない。



喋り出したら、とまらなくなる。

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