無口な彼の妬かせ方




「用事が…ある、のっ!だからっ…もう帰らせて…」


「……ムリ。」


「…っ……!」




ギュッと。



私の腕を掴むそれが強くなった。



痛いってほどではないけれど、緩くもないその力。



逃がさない、と言いたげに私を見つめる翔。



その視線に、下唇をグッと噛み締めた。



やめて……



私を…見ないで。



目が合ったら、また酷い事を言ってしまいそうで……



そう思いながら、フイッと目線を外してみれば、




「こっち向けよ」


「っ!」




私の頬に手を添えて、強引にまた目線を戻させる。



バチッと目が合うと、心臓が暴れ始めて落ち着かない。




「っ…翔なんてっ…!」




"大っ嫌い"



っと、思ってもいない事を言いそうになった……



トキだった。

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