無口な彼の妬かせ方
「嫌いなんて……言うなよ。」
「っ…………」
その顔に、私の胸はキュゥッと締め付けられて。
翔の服を力強く握った。
なにしてんの……私。
傷付けちゃいけないと分かっていながらも、結局は傷付けてるじゃん。
翔を妬かせてみたい?そんな事より、先にこの嫉妬深さをなおさないといけない。
こんなことで、嫉妬しちゃいけないだ。
翔を、傷付けてしまうだけなのに……
「藍っ…………」
翔は、再び私をキュッと力強く抱き締めた。
それによって、冷えていた身体が徐々に温かくなっていく。
いつの間にか、私は泣き止んでいて。
それに応えるように、私も翔の服を再びキュッと握った。
背中に回された翔の腕が、今だに私は慣れてなくて。
背筋が無意識にピンッと伸びる。