無口な彼の妬かせ方
その近さに、私の心臓が破裂しそうで耐えきれなくて。
パッと顔を背けてしまう。
近い……
なんで、こんな近くに。
ドキドキというか、バクバクとうるさい音をたてる私の心臓。
今は、そんな音を鳴らしている場合じゃないのに……
翔が言う、私の"勘違い"を教えてほしいのに。
「藍」
「………っ、」
そう私の名前を呼ぶ翔。
距離が近いからなのか、いつも以上にその声が耳に響く。
「こっち、向いて」
「……なんで」
優しくそう言われても、私はそれを拒んだ。
その距離じゃ、心臓がもたない。
そろそろ、爆発寸前に近いのに……
「いいから。向けって」
「っ!わっ……」
………だけど。
グイッと強引に顔を翔の方に向けられてしまう。
頬には、翔の両手が添えられていた。