無口な彼の妬かせ方
なに……コレ?
それが触れた途端に、首元はポカポカと暖かくなっていって。
ふと目線をそれに向けてみれば、
黒と白で出来た縞模様柄の
「マ、マフラー?」
だった。
「そっ。」
後ろから、呟くように聞こえたそれに。
私はパッと振り返る。
「えっ、でもコレ……」
………私のモノじゃない。
ていうか、マフラーなんて持ってないよ。
キュッとそのマフラーを握りしめながら、私は「?」を浮かばせる。
だったら……翔の?
そう一瞬考えてみたけれど、
違う。
今日一日、翔はマフラーなんてつけていなかった。
「どうしたの、コレ?」
そう聞いてみれば、
「気に入った?」
そう聞き返してくる。
……気に入った?
緩く微笑みをみせてくる翔に、とりあえず私は頷いてみせた。