照れ屋な不良くん
たぶん、今の私、神茂と同じ顔をしてる。
「じゃあ、事故じゃないならなんなの?あのキスには何か意味でもあったわけ?」
眉根を寄せて、私を見下すその目にジロリと見上げて睨み返す。
特になんの意味もないが、とりあえず離れろよっていうそういう意味も込めて。
「事故じゃない」
「だから…」
それはさっきも聞いたって!
だからなに?っと、反論しようと言いかけた口は
「愛情表現」
その謎の言葉によって、時が止まったかのようにピタリと動かなくなる。
ポッと赤く頬を染めた神茂は、私から隠すように顔を背けたが、耳まで真っ赤じゃないか。
「………はい?」
ようやく動けるようになった私の第一声は、とりあえずそれ。
いや何ポッて照れてんの?
そういう風にツッコミたいのは山々なのだが、それは置いといて。
「いや、あの、え?」
「あのキスは、俺からの愛情表現」
いやもう分かったから。
またポッて赤くなるのはやめて。
「それって、私の事が好きってこと?」
言いたい事は言う。それが私のモットーなわけで、
「(…本気?)」
ズバリと言い切ったそれに、またしても神茂はポッと赤く頬を染める。
どうやらそれが私の問いに対する答えを表しているらしい。