照れ屋な不良くん
不良でも照れる事もあるんだな。っと、珍しいモノを見たというちょっと嬉しい気持ちがありながらも、
私の事が好きだと言い張る不良、いや言ってはいないが、私のその問いに頬を赤く染めた不良にドン引きしてしまう自分もいる。
「(やばくないか、この状況)」
自然と身体が後ろに後ずさっていて、だけど真後ろにあった壁により、背中が壁に当たる。
「好意が、あって、キスしたの?」
「ダメなのか?」
「いやいや付き合ってもないんだしダメでしょ」
「ツキアッテクダサイ。」
「ごめんなさい。」
「(思いっきり棒読みじゃん)」
それが理由で断ったのではないが、ちょっと即答過ぎた?と小さな事を気にしていれば、
私の顔の左側にあって壁をつくその大きくてゴツゴツした手が、
「っ、!?」
突如、壁をドンッ!!と殴ったのだ。
その音で驚かない人はいないだろう。私でもさすがに驚いた。
なに…。と横目でそっちを見れば、壁が少しだけヘコんでいるのは気のせいだろうか。
「は?なんでダメなんだよ」
「私は神茂の事好きじゃない。神茂も両想いじゃないのに付き合うのは嫌でしょう?」
「俺はそれでもいい」
「いやダメだから」
そうして再び否定すれば
「好きじゃなくても、つき合ってみたら徐々に好きになっていく可能性ぐらいあるだろ」
不良なのにも関わらず、案外恋愛に関しては知っているんだな、と感じてしまった。