照れ屋な不良くん
「そういえば、今日調理実習だよね。エプロン持ってきた?それからバンダナと…」
指であれやこれやと数えていれば「へぇ」と興味なさそうに返答する彼。
その返答にふと気づく。
「サボる気?」
「ダルい」
「何も持ってきてないわけ?」
「やる気ない」
だろうとは思ったけど、やっぱりサボる気か。
…別に止めるなんて事はしない。
それは自分自身の問題なんだし全く関係ない事。
「(でも、……まてよ)」
昨日の事を思い出す。
そういえば神茂は私と同じ班で、ずっと寝ていたから勝手に”切る係”に任命したんだっけ。
「あ。やっぱりダメだ」
ポツリと呟き見上げると、神茂と目が合う。
「なに?」と、言いたげなその表情に私は昨日の事を説明した。
「うわ、ダルっ」とか言いそうなのに
「ああ、分かった」
「(あ、れ?)」
案外素直に納得してくれた彼。
言い返す準備をしていた私は、逆に困る。