照れ屋な不良くん





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「えーと」




まず野菜を切って、それから…



あっという間に調理実習の時間になり、エプロンとバンダナを付ける人達がチラホラと目に入る。



バンダナとエプロンを持ってきていない神茂は、先生から借りた物を着用。


ちょうど男の先生と女の先生、その二人がいたため、


男用のエプロンを身につける彼は何気に似合っている。




「神茂、これとこれ切ってね」




渡した野菜を受け取ると、彼は手慣れたように切り始める。


案外上手い………



その姿に唖然と見つめていれば、沙由が困ったように私の名前を呼ぶ。




「ねえ由羅、お皿3枚とコップ4個持ってきてくれない?」

「えー…絶対重いよそれ…」

「班長なんだから、しっかり」




それを言われれば何も言い返せない。


班長なんてなりたくてなったわけじゃないのに。まあじゃんけん運がない私が悪いのだが。




「じゃあ俺も手伝うよ」




すると神茂と一緒に野菜を切っていた蒼井くんが、包丁を置いて私についてくる。




「ほんと?助かるー」




確か蒼井くんは炒める係。


何もする事がなかったのか、神茂の手伝いをしていたらしい。

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