照れ屋な不良くん
「あ、あった。あったよ蒼井くん。たぶんあのお皿だと思う」
食器棚の少し高い位置に、沙由が言っていたお皿はあった。
私でも届きそうな高さではあるが、その中には、詰め込み過ぎだろっと思ってしまうくらいにギッシリと他のお皿も。
取れたとしても、なんだろ、この危険な感じしかしない予感…
「俺取るよ。ほら、全然よゆーに届くし」
触れた直後、グラリと揺れた。
「わ、ちょっと危な…!」
「………は、ははっ…なんてね」
お皿を一枚取り出そうとした蒼井くんだが
グラリと一瞬揺れたお皿のタワーを見て、ピタッと動きを止め、即手を引っ込めた。
……これ、無理だ。
たぶんお互いそう思っているに違いない。
「お前ら…何してんだよ」
「っ!!
あ、なんだ神茂か…」
ビックリした…
私の隣にいた蒼井くんも肩が飛び上がるほど、驚いたらしい。
呆然とお皿のタワーを見上げている中で
突如、建て付きの悪い扉が開いたかと思えば
いつも通りに眉根を寄せて、気味悪そうに周りを見渡す神茂の姿。