照れ屋な不良くん
不良と私と恋心と
「なんかあったでしょ」
「…え…?」
「神茂と」
ズズッ、とカラになったパックジュースを飲む沙由。
目線がしっかりと私を捕らえて、私は慌てて俯いた。
あれから、神茂と少し距離が離れた。
いつも一緒だった弁当の時間。
だけど今はもう神茂の姿はない。
「なーんか、ぎこちないから」
「そう…かな」
「全然喋らないし」
「…………」
もうこれ以上は隠しきれない。
そう思った私は、今までの事を全て沙由に打ち明けた。
「迷惑じゃないなら、なんでそう言わないの」
「言わないんじゃなくて、言えないの」
”迷惑じゃない”
ただその一言を言うだけなのに
いろんな事を考えてしまう。
「神茂の事、全然迷惑じゃないよ。
…けど、もしそう言ったとしたら、神茂に期待を持たせる事になるんじゃないかって思った。
私は神茂を好きだと聞かれても、うんっとは答えられない。
…分からないの。好きって感情が」
恋をした事のない私にとって
それはすごく難しい。