照れ屋な不良くん
「恋ってさ~案外簡単に気づくものなんだよ。
一つは、その人の事ばかり考えてしまう。
二つ目は、その人の事を気づけば目で追ってしまってる。
それが恋の始まりなんだよ」
緩く笑顔を見せた沙由に、私は少し頬を赤く染めた。
そう言われれば…神茂の事ばかり考えていた気がする。
良く目が合うな。なんて感じていたときもあったけど、
それは私が見ていたからなんじゃ…
「由羅、結構神茂の事見つめてるよね~」
「そ、んなつもりはないんだけど…」
「だから気づけば目で追っているものなんだってば!」
そろそろ認めなよ。って楽しそうに笑う沙由の隣で、私は涙を拭った。
恋…、か。
これが恋なんだ。
その人の事を考えただけでも胸がキュウっとなる。
私は初めて人を好きになった。
そう自覚したのは今日。
いつも眉間にシワを寄せてるくせに、不意に見せた笑顔はどこか幼くて
自分の身体を張って守ってくれた
そんな彼が好き。
そう考えるだけでも、何故か嬉しい気持ちになれた。