照れ屋な不良くん





好きだって気づいたものの、私はこれからどうしたらいいんだろう。




やっぱり神茂にそう伝えるべき?




放課後になって、私は神茂の方に目線を向けた。




”一緒に帰りたい”なんて言ったら、彼は驚くだろうか。




(よし、頑張ろう)




ガタッと席を立つ。



今までは何も緊張せずに話せたのに、何故か今は神茂に近寄るだけで緊張した。




「あ、の。神茂」




カバンを持って、今すぐにでも教室から出て行きそうな彼を引き止めた。




驚いた表情を見せる神茂。




こんな近くで神茂の顔を見るのはいつぐらいだろうか。




(そういえば全然話してなかったんだ)




ギュッと手に力がこもる。




「今日、一緒に………」




その突如




「やっぱり、あの二人付き合ってんの?」

「あやし~」

「神茂に話しかけるとか勇気あるよね~」




周りから聞こえた声。小声なのに、私にはしっかり聞こえた。



ドクン、と心臓が一気に暴れる。




(ヤダ、やめて、目立ちたくない)




フラッシュバックされたあの出来事。そのせいで言いたかった言葉が言えない。




手から力が抜けて、神茂の袖を掴む手が離れる。

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