照れ屋な不良くん
(もう、やめて……)
耳を塞ぎそうになりかけた瞬間。
「……別に付き合ってねーし」
少し大きめの声だった。
涙目になりかけていた私は、ゆっくりと顔を上げる。
見上げた先は、神茂の顔で。
「……お前も、迷惑なら迷惑だって、素直にそう言えばいいのに。」
眉間にシワを寄せた彼は、私を睨むように見下して。
「そういうの、まじウザい」
シン…とした教室に、その言葉が響き渡った。
私を見る目が冷たい。
「……か、みしげ」
名前を呼んでも、目を合わせようとはしない。
手を伸ばして神茂に触れようとするものの、彼はそれを拒むように私から遠のいていく。
スタスタと歩いていくその後ろ姿を、私はその場で見ている事しかできなくて。