照れ屋な不良くん






「…………でも、迷惑なら迷惑だって、素直に言ってほしいのは本当だ。」

「っ!」




ドッと冷や汗が出た。


”迷惑なんかじゃない!”


心の中でなら何度だって言える。


だけど、言おうとすると口元が震えて




「あ…え、っと、そっ……れは…」




うまく、言えない。




そんな私を無言で見つめる彼は、ゆっくりと顔を俯かせた。




「……お前は、俺といる所を見られるのが、嫌なんだろ?」

「……え?」

「そう思われても仕方がないと思う。俺こんな顔だし、不良だって怖がられてるし…」

(違う…そうじゃない……)

「嫌な思いさせて悪かった。………迷惑なら、俺は…」




心臓の鼓動が速さを増した気がした。




………いやだ。……やめて。


離れるなんて言わないで……!

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