照れ屋な不良くん
「ーーーーっ」
その突如だった。
神茂の腕を掴む私の手を、彼はいきなり強い力で引っ張ったのだ。
「っ、」
前のめりになる私を、神茂がしっかりと受け止める。
驚きのあまりに放してしまったカバンが、大きな音をたてて地面に落ちた。
「神茂…?」
背中に回された腕。
ゆっくりと見上げる私。
力が強くて身動きがとれないものの、顔だけは動かせた。
見上げた先は神茂の顔。
犬のお面はいつの間にかなくなっている。
「っ…、」
頭の後ろに回された手。その手にグッと力がこもると、一気に私と神茂との距離を縮めた。
「…拒否、しなくていーのか?」
触れるか触れないか、ギリギリの距離でそう彼が聞くものだから
「……今は、いい」
その返事と共に、
彼は急ぐように素早く
私にキスをした。