照れ屋な不良くん
「ねえ、それ回してもらっていい?」
「……………」
そう決めたのに
(コイツ…俺に言ってんの?)
こんな俺でも昨日は緊張してあまり寝れてなくて
気づけば本当に寝ていた俺に
「…?…それ回してほしいんだけど」
後ろの女が俺に喋りかけてきやがった。
「………、え?」
「え?じゃなくて、それ。その紙後ろに回して」
「……あ、ああ。…悪い」
パッと机の上を見れば三枚ほどプリントが置かれていて
(いつもなら、勝手に後ろの奴が取っていくのに…)
そっとそのプリントを後ろの女に渡す。
「自分の分取った?」
「え?…あ、そっか。」
「はい。」っと俺の分のプリントを渡されて受け取れば
「寝ぼけてるでしょ」
なんて、ふふっと笑う女。
(…コイツは俺の事嫌いじゃないのか…?)
チラリと後ろを見ても女は平然とプリントを眺めているだけで
動揺している様子もなく
(……変な女)
俺にとって、初めて学校で会話をしたかもしれない。