照れ屋な不良くん
それから少し経つと席替えで神崎サンとは離れてしまった。
もちろんもう喋ることはなくなり、俺から話しかけようと何度も挑戦したが緊張して声すらかけれない。
(俺って案外ヘタレ…)
こんな顔していながら女1人話しかけれないなんて…
いつも楽しそうに笑う神崎サン。
ハッと気づいたときには神崎サンばかり見ている自分が恥ずかしくなり、見るのをやめる。
ときたま目が合えば、おとなしかった鼓動が暴れ始める。
(目が…!な、なにか話さねーと…!)
そう思っているうちに神崎サンが目を逸らすから、喋れずに終わってしまう事が多々あった。
目が合うだけでも嬉しいが、喋れるともっと嬉しい。
………そしてあの日、神崎サンから久々に話しかけてくれた。
「か、みしげ」
なんて俺の名前を呼ぶ神崎サンに、ビックリしてすぐ振り返る。
そんな神崎サンの手には、俺の携帯。
いつ落としたのかも記憶にないが拾ってくれたのだろう。
そんな彼女に近づけば近づくほどに緊張して鼓動は鳴り止まない。
こんなに近づいたのは初めてだ。至近距離に神崎サンがいる。
(………好きだな…)
心の何処かでそう思った。
近くに行くほど神崎サンの魅力に惹かれて、気がつけばそんな神崎サンの腕を引いている俺。
チュッと触れたのは唇で
……キスしてしまった。