照れ屋な不良くん
(あの野郎…ふざけんなっっ!!!)
なんて思いながらも、追いかける気力もなく
伸ばした手を静かに下げた。
「………じゃあ二人で食べよっか」
お弁当を机に置くと、神茂は前の席のイスを後ろに向けてドサリと座る。
(あ、ここで食べるんだ)
それが合図のように思えたから、私は何も言わずにストンと座る。
「……………」
「……………」
沈黙の中、食べ進める私達。
「やばいよ、二人で食べてる」
「神茂が強引に誘ったんじゃない?」
「かわいそ~神崎さん」
周りがそうざわめくものの、神茂は何も気にしていない様子。
(別にかわいそうじゃないし)
その言葉に少し苛立ちを覚えた。
二人で食べるなんて、恥ずかしいけどちょっと嬉しいもん。
だけど周りの人からすると、
私達はやっぱりカレカノのようには見えていないらしい。
「……………」
なんだかそれも複雑な気持ちになる。
「神茂」
「……、?」
気がつけば私から行動にでていた。
”また怯えてどーすんの!堂々とするって言ってたじゃん”
”決めたならする!ほら!すぐ行動!!”
沙由の言葉が頭に浮かび
目立つのが嫌だと言っていたくせに、
「……ほら、早く食べてよ」
今は私から神茂に卵焼きをフォークで刺して、食べてと言っている。