照れ屋な不良くん





昼休みが終わるまでの間、私達はあまり使われていない階段の1番上で2人横に並び座って話をする。




あのざわつきの中戻れる勇気が今の私達には無いからだ。





「あの弁当、神崎サンが作ったのか?」


「そうだけど…」


「料理上手なんだな」





神茂に褒められると


親から褒められた時とか
友達が褒めてくれた時とは違って、


嬉しい気持ちとまた別の感情が心に広がる。





(………明日、神茂の分のお弁当作ってきてあげようかな…)





自然とそんな気持ちになった。いつもパンばかり食べているし、その事に関しては一緒に食べ始めた頃からそう思ってて、栄養偏るな~っと。





「明日、神茂の分もお弁当作ってこようか?」


「えっ、いいのかっ!?」





一瞬にして、神茂の顔が明るくなった。



あ、喜んでる。……嬉しいんだ。





もし神茂が犬だったとしたら、今の神茂はきっと尻尾を振り回しているはず。


想像すると、ちょっと面白い。





「いいよ。明日、作ってくるね」


「あ、じゃあお金…」





少し慌てるようにポケットを探る神茂は、言葉通りにお金を探しているのだろう。



そんな律儀にいいのに。





「私が神茂に作ってあげたいって思ったの。だから神茂は気を使わずに受け取るだけでいいんだよ。あと………彼氏にお弁当作ってあげるとか、ちゃんと付き合ってるみたいだし……」





自分で言っておいて照れくさくなってしまった。


は…はずっ。
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