私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
でも直ぐにゼノの表情が曇っていくのが伺えて、何故忌み嫌ってくる街の領主の元へ助けを求めに言ったのか理由を聞くことにした。
「助けを求めてたけど、どうかしたの?」
「……弟が帰ってこないんだ。母さんはオレじゃ近づく事が出来ないレヴィローラ様の結界の中にいて、知らせることもできなくて。それで……この街の警備隊に助けを求めに行ったけど聞く耳持って貰えなくて、どうにかしないとって思って、領主様の元へ行ったんだ」
「その弟さんはどこに言ったの?」
私の質問にほんの少しゼノは目を泳がせながらも、最後には私の目をしっかりと見つめた。
「オルドス洞窟……」
「オルドスって、確かルリナさんが私に行けって命じてきた魔窟のこと?」
こくんと頷くゼノの顔は、やっぱりどこか強ばっていて何かあるんだと察するしかない。
「お姉ちゃんはあの女の人が何を言ったかを理解してないんだ」
首を傾げる私にゼノは一つため息を零してから、思いを固めたように口を動かした。
「オルドス洞窟はグレア大迷宮へと続く唯一の道がある場所なんだ。魔物達が巣食う洞窟……死へと導く魔の口とも言われているあの場所に、お姉ちゃん一人で結界を張りに行けなんて、死んでこいって言ってるのと一緒なんだよ」
ゼノの説明の後に、恐ろしさよりも腑に落ちた事にまだ冷静さは残っている事を確認する。
確かに結界を張ってこいなんて聖女に言うなんて、赤子に泣けと言ってるのと同等な事を指示してるのと一緒だもんね。