私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
一寸先も闇に包まれた洞窟内から吹き上げてくる風はどことなく生暖かく、気持ちが悪かった。
魔窟から溢れ出てくる瘴気と禍々しさに、浄化された聖域ばかりを見てきた私には少し衝撃が大きい。
何とかしなきゃという気持ちだけで動いていた私だったけど、いざその場を目の前にすると足が竦む。
ただその場に立っているだけなのに、何かに支配されそうな感覚を振り払うように私は一歩前へ出る。
「お、お姉ちゃん……」
ゼノの震える声に気づいた私は落ち着かせるように、ゼノに向き合ってその頭を撫でた。
「道案内してくれてどうもありがとう。ここからは私一人で行くから、ゼノは安全な場所で待ってて」
ここまで来れたなら後はもう自分の足で前へと進んでいくしかないのだと、鼓舞するしかない。
ただゼノの表情からして、私の発言に不満と困惑が混じっているようだ。
「なっなんでよ!オレは?!オレも行くよ!!」
ゼノの突然の申し出に私までも混乱しそうになるのをぐっと堪える。