私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
宿に着いたら湯を浴びて、そのまま今日は眠りにつきたいところだ。
問題はジルにこの昼間の出来事を伝えるべきか……ってこと。
フェイムと共に行動していた、なんて感の鋭いジルにはすぐに分かってしまいそうだけど。
何故かドキドキと変な汗と共に鼓動が早くなるのを、平然を装って宿の自分たちの部屋へと入る。
「た、ただい……ま」
か細い声で帰りを伝える言葉を発したけれど、その声はただ壁に吸収されるだけで、返ってくる言葉は何も無かった。
どうやらジルもまだ帰宅してないらしい。
ほっとしていると、私達の姿を見かけた宿の使用人さんが声を掛けてきた。
「失礼致します。ジルゲイル様から本日は遅くなるという伝言を預かっております」
「そう、ですか。ありがとうございます」
去っていく使用人さんをただ見つめながら、ほっとする気持ちとなんとも言えない寂しさのような感情が滲んでいることに気づき、慌てて首を振る。