私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
ジルも騎士団長なんだから、旅をしてようと、あれやこれやと訪れた場所で報告やらを受けてるに違いない。
結局その後もフェイムと夜に包み込まれていく街を見ながら夕ご飯を一緒に食べて、自室で魔法の話やら聖女の力の話なんかをしながら時間を潰したけれど、寝る直後になってもジルは帰ってこなかった。
「ジル遅い、ね」
「もしかして心配?」
「心配というか……なんと言うか……」
遅くなるっていう伝言は貰ってるから別に今更どうこう騒ぐ理由もないけれど、別行動をしていて一人帰ってこないとなると心配するのは普通じゃないのかな。
今日の出来事はジルには話せないのに、聖女の務めを果たせたって遠回しに今日の成果を自慢したかったなあ、なんて。
……第一いつもなら女達に囲まれるジルに嫌気がさして、私一人になるのがこの旅では当たり前だったのに、急にどうしたんだろう。
悶々とする私に気づいたのか、フェイムは一つ小さく笑った。
「見る目が変わったね、リゼさん」
「えっ?!どういう事?」
「僕が言うより、自分で気づいた方がいいと思うから敢えて言わないよ」
自分のことだと言うのに、フェイムの方が私の事を知っているなんて変な話じゃない?