私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
そう言われてしまえば聞くことも出来ずに、モヤモヤする気持ちは広がっていくばかりで、苦しくなった私はとりあえず寝ることを選択する。
貸し与えられた部屋には小さなリビングと、それぞれの寝床がある部屋に別れていて、完璧に一人になれる空間があることに少しほっとしていた。
これ以上フェイムに心の中を覗かれるのも嫌だ。
でもこのモヤモヤの答えを知っているフェイムがずるくて、少し問い詰めたい気持ちもあるのも確か。
ベッドに潜り込んで横になれば自然と眠気がやって来ると思っていたのに、その眠気は全然やってくる気配がない。
日中あれだけ気が張っていて疲れているはずなのに……どうして?
何度目の寝返りをうったのかも分からなくなって、喉の乾きを潤そうとベッドから起き上がった時だった。
ふと窓の外を見れば夜の暗闇に一つの影が動いたのが分かった。
「……?」
じっとその影が動いた場所を見つめていると、雲の間から顔を出した月が見ていた場所を照らす。