私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
「なっ……!!」
突然のことに頭も体もついてこなくて、唯一絞り出せた吐き出した言葉に想いを乗せたつもりだったけど、言葉すら詰まる。
腰と首筋に腕を伸ばされて身動きすら取れずに、私は荒れ狂う心臓を鎮めるのに必死だ。
「……リゼ」
耳元で吐き出されたジルの吐息混じりの声に、身体がビクンと反応してしまう。
少し乱暴に、でも繊細な物を触れるかのような手つきで髪を撫でられ、彼の手が微かに耳に触れた。
「っ……」
「――いいか。今から俺の恋人のフリをしろ」
「は?」
訳の分からないことを突然吐き出されても、この状況にはついていけてないってことぐらい分からないの?
少しだけ冷静になれた自分がどうにかジルの目をちゃんと見ることが出来て、彼に向けて眉間にしわを寄せた。
「説明してくれないと――」
無理、と続けようとしたけれど真剣な眼差しで見つめてくるジルがそっと私の頬を撫でそのまま唇を指でなぞられ声にならなかった。