私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
それ以上喋るなとでも言いたそうで、抵抗したい気持ちを抑えつけられる。
おまけにどんどんと体温が上がっていって、今の私にはもうどうする事もできない。
「本当に素直だな、リゼは」
小さく笑うジルの顔が、あまりにも優しくて思わず見惚れた。
言葉に込められた想いは偽物なのか、それとも本物なのか……今の私には判断できない。
ただ恥ずかしい気持ちの中に、もう少しだけ長くジルに触れていて欲しい――そんな気持ちが芽生えてしまう。
「ジ……ル……」
名前を呼んだだけなのに、どうしてこんなにも胸がいっぱいになるんだろう。
いつも私の事を馬鹿にして、旅を手っ取り早く終わらせようとしてくる彼を前にしているだけなのに。
――こんなにも胸が苦しい。
「前に出来なかったことの続き、今ここでしよう」
ジルの顔が近づいてきたかと思えば、首筋に柔らかい感触が触れた。