私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
「降ってきたな……」
ポツリと冷たい雫が頬に当たり、それに続くようにパラパラと森の木々の葉を潤わせる雨が降ってきた。
ジルが見つけていた休憩地点の洞穴に入れば雨は確かに凌げるけれど、小さな空間のせいで嫌でもジルとの距離が近い。
ジルに背を向けるように荷物を地面に下ろして、洞穴から薄暗い空を見上げた。
「冷えて風邪を引くのも大変だ。とりあえず、暖をとろうか」
洞穴の中に流れ込んでいた枯葉を集めて、フェイムが魔法で火をおこす。
か細い炎が枯葉を灰にしては己の身を大きくしようと、真っ赤に燃える。
「これだけじゃ心もとない……かな。少し周囲を散策してくるよ」
「それじゃあ、フェイムが濡れちゃうよ」
「大丈夫。魔法を掛ければ濡れることはないから」
着ていたローブに何かの詠唱を唱えたフェイムは、軽く手を振って洞穴から出て行ってしまう。
二人きりになんかなりたくなかったのに、フェイムの馬鹿。