私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
沈黙の中、ジルと二人きりになってしまった私は口を固く閉ざすしかできない。
「何やかんやで、遅れを取らずにここまで着いてこれたな」
ジルが唐突に話しかけてきて、ビクリと肩を震わせる。
ここで無視するのは向こうにも怪しまれる可能性があると判断した私は、渋々口を開くしかない。
「国外追放なんて真っ平御免だもの」
「でもその分、自由になれるとは思わないのか?」
「思うわけないじゃない。あそこには先代達が守ってきた大切なものがたくさんあるんだから。私だって……それを守りたいもの。でも落ちこぼれだから、全部は守れないかもしれないけど」
守らなきゃいけない、絶対に。
服の上から欠けたクリスタルを握りしめて、その感触を確かめる。
「なあ、リゼ」
凛としたジルの声が真っ直ぐに耳に届いて、顔を合わせるつもりもなかったはずなのに、不思議とジルの顔を見つめてしまう。