私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!



私の手のひらを凝視する大精霊レヴィローラは、大きなため息をついて顔を歪ませた。


その顔の歪み具合も何ともまあ、色っぽいこと。


「見事に壊したようだな。リュードルめ、躾を怠るなと忠告しておったと言うのに……」


ああ……オーラがまた変わった……多分相当怒ってらっしゃる。


覚悟はしておいた方がいいと、本能が私に訴えかけてくるのが分かる。


ただどんなお叱りを受けてもいいから、元通りに戻してもらって守るべきものをしっかりと守る聖女として胸を張りたい。


「大事なものだということは分かっています。壊してしまって本当にすみませんでした。でも、私……ちゃんと守るべきものを守りたいんです。どうか、元に戻して貰えませんか?」


懇願する私をじとっと見つめたレヴィローラは、呆れ顔で首を横に振ったかと思えば片手をひらりと動かした。


するとクリスタルが私の首元から勝手に宙に浮いてレヴィローラの元へと動いていく。


「直す事は容易だ。――しかし、だ。こちらにクリスタルに宿る力はこちらに還ってきてはおらぬ。元に戻したとしても、これはもぬけの殻。ただの飾りだ」


「え……?力が還ってきてない、ですか?」


「何なら、そなたの国にクリスタルの力は存在している」


一体どういう事だろうか、事の内容が全く頭で処理しきれていない。


私はクリスタルを壊して宿っていた力が、そのクリスタルにはないからここまでやって来たというのに、アンゼリオにその力があるって……どういう事?





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