私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!




「口を挟むことをお許しください。レヴィローラ様」


思考停止状態に陥りそうな私を見かねたフェイムが、一歩前に出て口を開いた。


「クリスタルの力をアンゼリオ国の聖女以外の誰かが持っている、そういう事でしょうか」


「その可能性は高い。他国に存在する聖女の力もここ数日で弱まっているのだ。結界は歪み、魔物達の動きが活発になっているのもそれが原因だ」


オルドス洞窟の結界が歪んでいたのも、アンゼリオの私が張っていた結界の歪みが生じていたのも……聖女の力が弱まっているせいなの?


「この聖域における異変も少なからずその影響を受けている。突然やってくる大地の揺れや、結界の術式に介入してこようとする魔力の存在……只者ではない」


「ここ最近の城の魔物討伐の動きが増えてきたのもそれのせいか……」


ボソリと呟くジルもどうやら心当たりがあるようね。


守るという力があるというのに、それを変に悪用しようとしている誰がいる……一体誰が何のために?


「一応、器であるクリスタルは元に戻しておこう。ただ力をここに宿すことは不可能だ。どうにかして、別の器を壊すしか力を戻す方法はない」


レヴィローラの手元から光が溢れ出すと、欠けたはずのクリスタルがみるみるうちに元の姿を取り戻していく。


光が消えれば再び私の元へと戻ってきて、大事にクリスタルを受け取った。


「おかえり。良かったね、元の姿に戻って」


クリスタルに話しかけても反応が返ってくることはないけれど、なんだか少し嬉しそうに輝いている気がした。




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