私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!



元に戻って嬉しいはずなのに、力のないクリスタルの輝きは霞んでいて、それがとてつもなく切ない。


「力を操る者が他人に渡ったのだ。そなたの中にある加護の力があるとは言え、本領発揮はできない。結界が壊される前に策を考え、手を打て。聖女の護りが悪用されれば、ただでは済まされん」


「……はい」


「我も、そやつの尻尾を掴むための行動は取るつもりではいる。ただ、聖域を犯そうとする力に対抗しているせいで、それ程までの時間は割けぬ。聖女として守るべきものを守るために、そなたも全力を尽くせ」


「分かりました」


力強く頷くとレヴィローラは己の身に霧を巻き付けていくと、その姿を消した。


長居は不要だと私達も元来た道を辿りながら、大森林の外へと出るために足を動かした。


レヴィローラが大森林入口付近までの転移魔法を用意してくれていたお陰で、行きのように時間は取られることはなかったのが救いね。





< 178 / 267 >

この作品をシェア

pagetop