私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
「ごめん、考え事してた」
「見れば分かる。それで、これからどうするつもりでいるんだ」
「国へ帰るよ。偽物を捕まえなきゃ、皆が危険な目に合うもの」
クリスタルの力が無くたって、私は聖女だ。
クリフ王子は帰ってきた私なんかすぐに追い出そうとするかもしれないし、聞く耳を持たないかもしれないけれど、やれることをやってみないと。
こっちは国民の命を預かってるんだから、一つ二つのネチネチした悪口なんて言われた所で逃げたりしない。
「ここまで着いてきてくれてありがとう。ジルもフェイムも、自分の国でやることあるでしょ?」
見えてきた街にこれでお別れなのかと少し寂しさが滲むけど、そんなこと言ってる場合じゃない。
ジル達のシェルアバド国の聖女の力だってきっと弱まっているはずなんだから、騎士団の仕事だって増えているはずだ。
「貴方達がいなかったらここまで辿り着けなかった。本当に感謝してるわ」
「なあ、リゼ――」
ジルが私の手を掴み何かを言いかけたその時、遠くから声が聞こえてきた。