私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
「あんな自信なさそうにしていたのが、今は聖女としての誇りを持つ一人の女性になった」
「そう?」
「ああ。……今のあんたになら、きっとクリフ王子もときめくだろうさ。幸せにしてもらえよ」
ジルのその言葉に、私の心に亀裂が入るのが分かった。
そっか……前に言っていたもんね、 一度捨てた女に目が行くように指導してやるって。
急に優しくなって声を掛けてくれたのは全部、指導の中の一部分でしかなくて、私はそういう目で見られているわけなんか端からなかったんだから。
「今回の依頼の料金は要らない。色々楽しかったから、それでいい」
「でっでも、それは流石に悪いと思うから」
「じゃあ、未来の旦那様と挙式を上げる日には俺とフェイムを呼んでくれよ」
ああ、これ以上彼の口から私がいない未来を話さないでほしい。